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196.六十二間筋兜紺糸威二枚胴具足:遠山家伝来(中津川市苗木遠山史料館蔵)

驚くことに前立筆箱(ふでばこ)になっている大変に面白い甲冑です。
実際に使用したのかどうかは分かりませんが、この甲冑の持ち主は和歌(わか)でも嗜(たしな)む風流人(ふうりゅうじん)だったのか、あるいは戦場での書記係だったのでしょうか。
197.甲冑(紺糸威):阿久津家伝来(個人蔵)

兜は筋兜前立鍬形で、中央に阿久津家(あくつけ)の定紋である「二つ巴(ふたつどもえ)」が付けられています。
(写真提供:大田原市教育委員会)
198.甲冑(紺糸威):大関増興着用(那須神社蔵)

高さのある天辺の座鍬形台の透かし彫り、長側の下の方に雲か波と思われる文様を打出した、しっかりした作りの甲冑です。
いろいろな所に大関家(おおぜきけ)の定紋である「沢瀉(ひいらぎかこみおもだか)」が施(ほどこ)されています。
(写真提供:大田原市教育委員会)
199.甲冑(金箔押本小札縹糸威二枚胴具足):(個人蔵)

兜の内側には、1533年10月4日に作られたことが記されています。
五輪塔を丸で囲った前立と、六段の長い草摺も特徴的です。
(写真提供:大田原市教育委員会)
200.金小札紫糸威二枚胴具足:(伝)豊臣秀長所用(重文「草野家住宅」所蔵)

修理中に兜の裏側から発見されたお札(ふだ)に「秀長(ひでなが)」と記されていたこと、受筒に施(ほどこ)された桐紋(きりもん)の蒔絵などから、豊臣秀吉(とよとみひでよし)の弟である豊臣秀長(とよとみひでなが)の甲冑と言われています。
金小札を使ったとても華(はな)やかな甲冑で、背中の指物も揃(そろ)っています。
(非公開、公開は通常ゴールデンウィークから5月下旬まで)
201.萌黄糸素掛威十六間筋兜・萌黄糸素掛威波頭桶側胴具足 小具足付:(福岡市博物館蔵)

横矧桶側胴で、矧(は)ぎ留(ど)めする板の上部を波頭に切って装飾としています。
202.紅糸素懸威銀箔押二枚胴具足:(伝)宇喜多基家所用(岡山県立博物館寄託)

銀箔を押したを紅糸(くれないいと)で素懸威にした二枚胴に、金銀箔を押した烏帽子形兜を備えた甲冑です。
今は銀箔の色がくすんでしまっていますが、もともとの銀色だった時はかなり見応(みごた)えがあったのではないでしょうか。
(写真提供:岡山県立博物館 画像の複製・加工を禁ず)
203.烈字打出二枚胴具足:間部詮勝所用(佐賀県立博物館所蔵)

画像では分かり難いですが、に大きく「烈(れつ)」の字を打出しています。
佐賀(さが)で甲冑やなどを作っていた宮田派(みやたは)の甲冑師の手によるものです。
の形も変わっています。
204.涛・日輪文打出五枚胴具足:(佐賀県立博物館所蔵)

同じく宮田派(みやたは)の甲冑師による甲冑で、宮田派(みやたは)が得意とした打出しに大きく「涛(おおなみ=大波)と日輪(にちりん=太陽)」の図を描いています。
205.紺糸威桶側二枚胴具足:(伝)竜造寺隆信所用(佐賀県立博物館所蔵)

横矧桶側胴、兜は兜巾形兜様兜となっています。
口髭(くちひげ)を蓄(たくわ)えた鳶頬が一際(ひときわ)目を惹(ひ)きます。
206.胴丸:青木小藤太所用(佐賀県立博物館所蔵)

対馬藩(つしまはん)で、「代官(だいかん)」・「副代官(ふくだいかん)」の次に偉い「手代(てだい)」と言う役職を務(つと)めていた青木小藤太(あおきことうた)の具足です。
毬栗(いがぐり)の
前立は珍しいですが、これは勝栗にあやかったものでしょうか。
佩楯宝幢佩楯となっています。
207.黒漆塗萌黄糸威五枚胴具足:(伝)成松信勝所用(佐賀県立博物館所蔵)

竜造寺四天王(りゅうぞうじしてんのう)の一人である成松信勝(なりまつのぶかつ)が着用したと言われる五枚胴です。
鍬形倶利伽羅剣を付けた大きな前立が特徴的です。
208.熊毛植五枚胴具足「大熊具足」:(伝)有馬忠頼所用(個人蔵)

全体を熊(くま)の毛皮(けがわ)で覆(おお)った甲冑で、「大熊具足(おおぐまぐそく)」と呼ばれています。
兜は
兜巾を被(かぶ)った獅噛張懸とし、どこかユーモラスな感じがします。
角状(つのじょう)の大きな脇立が付いています。
209.熊毛植五枚胴具足「小熊具足」:(伝)有馬頼元所用(個人蔵)

こちらも全体(ぜんたい)を熊(くま)の毛皮(けがわ)で覆(おお)った甲冑で、「大熊具足(おおぐまぐそく)」を真似て作られたので「小熊具足(こぐまぐそく)」と呼ばれています。
しかしながら単純な真似ではなく、
籠手銀象眼を施(ほどこ)すなど、装飾性が増しています。
210.鉄錆地紺糸威五枚胴具足:有馬頼永所用(個人蔵)

兜鉢への張懸ではなく前立となってはいますが、大きな角(つの)と獅噛のイメージは、「大熊具足(おおぐまぐそく)」・「小熊具足(こぐまぐそく)」から受け継がれています。

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