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PLAMAX 鎌倉時代の鎧武者
(マックスファクトリー 1/12)

▼ 商品画像 ▼

甲冑 僧兵


【キット内容】
株式会社マックスファクトリーのプラスチックモデルブランド、PLAMAXシリーズから発売された「鎌倉時代の鎧武者(1/12)」です。
材質はプラスチック製で、大鎧を着た徒歩(かち=とほ)の武士が太刀を構える姿となっています。
個人的には大鎧なので武器としては弓を持っていて欲しかったところです。
取り敢えず「大鎧で徒歩で弓以外の武器」と言う状況を考えた結果、僧兵に改造することを思い付きました。
そこで今回は1309年に描かれたとされる「春日権現験記絵巻(かすがごんげんげんきえまき)」を参考に、平安時代頃の南都(なんと=奈良)興福寺の僧兵と言う想像で改造してみたいと思います。

【兜】
僧兵なので兜は着けず、裹頭にします。

【面具】
−−−

【胴】
弦巻などの弓の装備は削り取ります。
栴檀板鳩尾板の形状を修正します。
どちらにも据文金物は付けないことにし、体に沿った反りを加えます。
また、両方の板の裏に渦状に巻いた金属ワイヤーを取り付け、胴の方には磁石を埋め込んで着脱が容易にできるようにしてみようと思います。
胸板の形状と位置も作り直し、腕の位置を変えるのに伴って見えるようになってしまった側面部分等を自作します。
草摺は4面とも5段下りのままとし、前草摺引敷草摺裾板は分割されていない形式とします。
平安時代の想定なので、八双金物は削り取り八双鋲のみにします。

【腕】
蛭巻薙刀を自作して持たせ、腕はそれに合わせて作り直します。
キットの大袖は七段有るように思われますが、鎌倉時代中期頃までの大袖は六段が一般的だったようですので一段削り取ります。
時代的に笄金物も不要ですので笄金物の付いた段を丸ごと切り取ることにします。
水呑鐶の裏に打ち黒塗、水呑緒水呑鐶への結びは片綰(かたわな)結びにしてみます。
執加緒は革紐以前の組紐の想定で四方手結び懸緒受緒は2条の緒にします。
八双金物は削り取り八双鋲のみ、冠板の鋲(びょう)も削り取ります。
馬手側のの裏には一応矢摺韋を貼っておこうと思います。

【足】
平安時代の臑当で残っている物は無いため、実際にどのような物であったのかははっきりとは分かりませんが、岐阜県の可成寺(かじょうじ)所蔵の臑当等を参考に三枚板を蝶番(ちょうつがい)で繋ぐ千鳥掛筒臑当にします。
は削り取り、裸足(はだし)に足半を履いた状態に改造します。

【その他】
太刀に納めた状態とし、全長もやや伸ばして作り直します。
折角なので薙刀に合わせて蛭巻太刀にしてみます。
腰刀は厳島神社(いつくしまじんじゃ)所蔵の「錦包腰刀(にしきつつみとうまきこしがたな)」を参考にして自作してみます。
総角付環総角を含めた緒(お)を修正し、緒の端は切総にします。
は個人的な好みで、1808年に書かれた「古鎧威毛圖會(こよろいおどしげずえ)」に掲載されている奈良春日社蔵の「敷目逆沢瀉を兼ねたる」を再現してみようと思います。
ただ同書には射向側の大袖の図しか載っておらず、馬手側の大袖草摺栴檀板についてはがどうなっていたのか不明です。
なお「蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)」などの絵巻物を見ると大袖逆沢瀉威の場合、
 @:草摺逆沢瀉威
 A:草摺沢瀉威
の両方の組み合わせが見られるようです。
はっきりと断定はできませんが、4面全ての草摺に模様が入っているように思われます。
同様にの背中については、
 @:逆沢瀉威
 A:沢瀉威
 B:何も模様が入っていない
の場合が有るようです。
栴檀板に関しては、東京国立博物館所蔵で明治時代に復元製作された「紫糸逆沢瀉威鎧(むらさきいとさかおもだかおどしよろい)」では逆沢瀉威の配色に合わせた褄取威のようなとなっています。
取り敢えず今回は大袖・全ての草摺の背中を「敷目逆沢瀉を兼ねたる」、栴檀板は「紫糸逆沢瀉威鎧」に倣(なら)って逆沢瀉威の配色に合わせて想像したにしてみようと思います。
前後左右のの向きは褄取威の例を参考にします。







▼ 完成品 ▼

甲冑 僧兵(改1) ヒストリカルフィギュア 甲冑 僧兵(改2)

甲冑 僧兵(改3) 甲冑 僧兵(改4)

甲冑 僧兵(改5) 甲冑 僧兵(改6)


【製作後記】
当初は兜の修正作業を省略する目的も有って裹頭にしてみたのですが、弓の装備を削り取った部分の修正や、腕の位置を変えたことに伴って今まで見えなかったのに見えるようになった箇所を自作する作業が生じ、結局は兜を修正するよりも苦労することになってしまいました。
更に肝心の裹頭についても正確な装着方法が分からず想像となってしまいました。
太刀薙刀蛭巻の間隔がマチマチになってしまったり、腰刀はややスケールが大きかった印象を受けます。
いつもの事ながら腕、素足、足半と言った自作の部分は造形が上手く出来ませんでした。
引合緒の結びも想像です。
先述の通り「古鎧威毛圖會(こよろいおどしげずえ)」には射向側の大袖の図しか掲載されておらず、更に図の大袖威毛の数がキットより密になっていますのであくまでも「似たような感じ」程度の再現です。
大袖が体から開き過ぎてしまった感じです。
紫糸はもっと色を明るくした方が良かったかもしれません。
なお武具や直垂等については甲冑以上に知識が無いので時代的・考証的に間違っている所があるかもしれませんがご容赦下さい。
今後も日本のメーカーさんによる甲冑フィギュアが出てくれると嬉しいです。


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